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■□ 三国一 9 □■ 広宗に着くと、其処には遠目からでも解るほどの軍が駐屯していた。 近づくと、見回りの兵に呼び止められる。 「おい!其処の者。止まれ、何処のものだ!」 「私は劉備と申す、義勇軍にございます。黄巾賊討伐正規軍とお見受けしますが・・・」 「如何にも。して劉備と申す者よ、何の用だ?」 「此方の黄巾賊討伐正規軍を指揮をしておられる盧植中郎将殿に、昔勉学を習った者でございますが、 昔の恩師を微力ながらお手伝い致したく参った次第で御座います。」 玄徳は、淀みなく言う。 其の兵士は考え込み、暫し待てと言い残し、姿を消す。 其れから随分と経った、駄目か・・・と思ったときだった。 「中郎将からお許しが出た。来い!」 先ほどの兵が呼ぶ。 俺達は、馬を進めた。 陣内の部屋に通される。 「おお!玄徳、君か。立派に成ったものだ」 其処に、髭を蓄えた老人、一見として学のある賢人と解る、盧植中郎将が入ってくる。 背は高く、ひょろりとして響く声の持ち主だった。 目を細め笑う。実直な人物というのが解る。 「お久しぶりで御座います、先生が黄巾賊での討伐軍を率いて戦っておられると聞き、 少しでも戦力になればと思い駆けつけた次第に御座います」 玄徳は手を打ち目上に対する礼をする。 俺と雲長も其れに習う。 「いやいや、格式ばった礼など良い、・・・処で君の兵は如何程の者なのかね?」 「500騎程で御座います」 「なるほど、先ほど遠くから見たが、乱れぬ動き、相当な兵達を持ったな。 いや、助かった。此処の兵は腑抜けでな。君を見込んで頼みたい」 癖なのだろう。笑顔で髭をねじりながら話す。 「其の前に・・・、益徳・雲長・・」 「・・・嗚呼待ってろ」 俺と奴は木箱を10個程持ってくる・・・・・ 「先生!都では、視察と言う者が来ると、賄賂を渡さねば成らないと聞きます。 渡さなければ、罪を着せられ、如何様にでもされてしまうと・・・どうか、疎の様な事が有りましたときには是を・・・」 「何を言っておるか、如何に政が腐っていようとも、まさか疎の様な・・・・其れに、是は御前達の大切な物。 疎の様な物は受け取れん!」 まぁ、見た目の侭の実直さだ。 「御気になさらず。代わり、我々を先生の私軍ということにしていただきたいのです、この草鞋売りを助けると思い 受け取ってください、必ずや是が必要に成る時が来ます。」 そう、是は交換条件なのだから安心して受け取れ。 盧植は考え込み唸る。 畳み掛けるように玄徳が言う 「若し、先生が受け取らないというのであれば、是は池にでも捨ておきます。 皆、先生に渡すためと話し、我慢させ用意したもの・・・今更付き返されたとあっては、部下への示しが付きませぬ故」 益徳!と玄徳に呼ばれる。 心得たものだ。俺は木箱を2つ抱え出て行こうとする・・・・ 「・・・わかった!負けたぞ玄徳、有難く受け取ろう」 盧植が叫ぶ。 良し・・・・・・3人がニヤリと笑みを交わす。 その後、落ち着いた彼は早速地図を開き、エイ川という地名を指す。 「君に頼みたいのは、此処、エイ川だ。張角の弟二名の相手を皇甫崇・朱シュンのニ将軍が討伐しておる。 向こうでは可也苦戦をしている、其の上、勝てば戦況は変えられるのでな、すまないが、其方に援軍として 行って欲しい」 「お安い御用で御座います、では早速行きますので」 「待ちたまえ、500騎では心許ないだろう、使えるか解らないが1000騎を付けよう。後、是を・・・・」 渡されたのは、朱シュンへの紹介状。 其れを恭しく礼をして受け取る。 そして、腰を上げ、部屋から出る。 「なぁ、玄徳。さっき渡したあれ先生は使うかな?」 俺は不安だった。 「・・・さぁ、是は一か八かだけど、盧植先生が世間知らずの人ではないことを思おう」 休む暇もなく俺達は、エイ川へと馬首を向け出発したのだった。 エイ川、黄巾賊の教祖 張角の弟2名が居る戦場。 漸く着き、紹介状を朱シュンの配下に渡す。 ご立派な奴は、部下を何名も従え、俺達を上から見ていた。 受け取ったそいつは恭しく朱シュンに渡す。 てめえが動けよ、と思う俺は、現代っ子なのかもしれない。 紹介文に目を通した奴は、見下したかのように鼻で笑うと俺達に言い放った。 「まぁ、やるだけやりたまえ、君達の働きによっては正規の軍に入れないことはないのだから そうだ、君達には此処の配置についてもらおう」 示された其処は最前線。其れも強力な敵の居る・・・・ 普通ならば、与えられた不遇に怒りを覚える様なところ・・・。 「有難う御座います、では早速、配置に着きますので」 そう言い、席を外し出て行く。 向こうでは、下卑た笑いが響いていた。 「さて、我々はあいつ等に一糸報いるためにも、快勝を勝ち取らねば成らない、そこで計略を用いようと思う」 笑みを浮かべ、計略を話す玄徳。 いたずらっ子の様な其れ。 俺と雲長はしたり顔だった。 夜も深まり、雲が天を覆い、月明かりのない葦原と沼地。 声を顰め、敵陣に近づく。 ・・・・用意は出来た。 玄徳が合図する。 一斉に敵陣に用意した物を使い火を付け回る。 1500騎一斉に。 瞬く間に広がる炎。阿鼻叫喚。逃げ惑う敵兵。 俺達は出てくる其れを食うだけ。 薙ぎ払い、突く。すると、背後から、官軍と思われる一団が進んできた。 見るからに強そうな装備に身を包んでいる・・・・。 「御前達は何者だ!敵か?!」 「我々は黄巾賊討伐の義軍で劉備と申すものです。失礼ですが、お名前は・・・」 玄徳が剣を構え言う。 俺と雲長は、自分の仕事をこなすのみだ。 炎と血飛沫で赤い。 「嗚呼、失礼した。我は、曹操、字を孟徳というものだ、貴殿の火計に乗じ、逃れてきた敵兵を討った処です」 一見すると優男の部類に入る男だ。 顔が、というか肌が・・・・・。 目線が、黙ってても目立つ血を浴びた2人に目が行く。 じと、と見られ背筋がゾワゾワとする。雲長も同じようで落ち着きが無い・・・ 一閃。血飛沫を放ち倒れる3名。咆哮を上げ、突き、薙ぎ払う。 そう、こんなときは戦に集中だ。 気づいたときには勝鬨が上がっていた自軍と曹操軍の2手から。 然し、朱シュン、奴の臍は真後ろにあるらしい。戻り、報告するとこう言い放つ。 「折角、一つに纏めていた敵を四散させてしまったぞ!まったく・・・恐らく、広宗で集まっているはずだ そうなると、盧植中郎将が危うい。早速援軍に出てくれ」 死ねば良いのに・・・怒りを笑みで消す、まぁポッと出な俺達にやられたのが気に、食わなかったんだろう・・・・ 「早速、疎の様に・・・・さぁ、出立の用意だ」 休む暇も無く、来た道を戻る、脇目も降らず。 盧植中郎将の安否が気になっていた。俺達は広宗へと急いだ。 戻 TOP 次 |