【小説】

■□ 三国一 8 □■




青州の太守のもてなしの宴・・・・勝利を祝う目的もあったが・・・

大きな広間に太守やその部下達が顔を連ねる・・・

此方は幽州の太守が派遣した総大将と玄徳と俺と雲長・・・・。

因みに部下達は人数が多いので外でよろしくやっている・・・。

豪勢な料理がテーブルに所狭しと並べられ・・・・旨そうな酒が幾つも置いてある。

太守の挨拶を皮切りに皆が楽しげに食い・・・呑み・・・話す・・・。

其れは太守との酒の席の話だった。

太守が玄徳の近くで何やら話しをしていた・・・。

其れを俺は目ざとく見つけ、近づく。

「いやぁ、貴方方の活躍のお陰で御座います。」

そう笑顔で言いながら太守は玄徳に酒を注ごうとする。

いかん、奴は酒が余り強くない。

其れは咄嗟の行動だった・・・。

少し注いだ処で、俺が杯を勢い良く空けズイと出す。

「すまんが空になった、俺にも注いでくれないか?」

悪びれない笑顔でこう言ってやる。

勿論、多少の無作法である。相手も眉を少々顰める。

「すいません、少し無作法な者でして・・・」

玄徳が苦笑いをしてフォローを入れる。

その言葉に相手も納得が言ったようで、先ほどの表情を消す。

「いえいえ、何、猛者たる者多少の無作法の方がよろしい、鬼神の様な強さ惚れ惚れ致しましたぞ」

ニコニコと笑いながら俺に注ぐ。

並々と今にも零れそうなほどに注がれる。

グイと杯を傾け・・・其れを直ぐに空け、玄徳に注がせない様にする。

奴は飲みすぎると、凶暴な性格になるから・・・そう頭の端で思いながら・・・。

俺に酒を注いでいた太守はふと、思い出したようにいった。

「そういえば、黄巾賊討伐正規軍も、我々の様に、広宗で苦戦しているようですな。指揮官は盧植中郎将という兵法に

優れた方を聞いたが、やはり学が良くても、動く兵が良くなければ結果は出せん物ですな」

そう言い笑う。

見知った、名前に玄徳の目が光る。

盧植、其れは玄徳が幼少の頃の恩師。死ぬ前の本当の玄徳を知る者だった。

玄・・・・どうするんだ?

目を向ける。

玄徳は任せろとばかりに口に笑みを浮かべていた・・・。

「はて、盧植・・・・盧植・・・聞いた覚えが。そうだ!其の方は私の幼少の頃の恩師では有りませぬか。

こうしてはおれません、私共は恩師に報いるためにも明日にでも広宗に発とうかと思います」

良いのか?下手をすればバレるぞ・・・。

然し、会話はその儘進んでいく。

「おお、そうでしたか!成らば、兵糧などの装備は此処で整えられると良い。

盧植中郎将殿も貴方方のような良い兵が傘下に着けば、戦況は大きく変わりましょうぞ」

と言いながら、俺に酒を注いだのだった。




「ぅぇえええ・・・・」

宴が終わった・・・・腹が・・・便所で胃に入れたものを吐く。

是全部体に入ったら死ぬぞ・・・。

「おい、大丈夫か?」

ふと、声がする、雲長だ。

「嗚呼、調子に乗って飲みすぎた・・・」

口を拭い出る。

然し・・・予窓外に腰に来ていたらしく・・・よろける足元に舌打をする。

其れを見た奴は、

「どれ、肩を貸そう・・・」

そう言い、腕を持たれる。

「すまねぇ・・・」

俺はお言葉に甘えさせていただく。

人間持ちつ持たれつだ・・・・って世話になりっぱなしだが・・・・。

酒は強いほうではあったが、先方のイメージの方が強かったらしい。

樽一杯は飲まされた・・・・。

ふと直ぐ沸きで声が響く・・・。

「余り、無理はするな」

心配そうな奴の声・・・・。

「まぁな」

俺は済まなそうに答えるしか出来なくて・・・。

まさか、玄徳が凶暴になるから俺が変わりに飲んだなんて言えない・・・・。

「明日には、広宗に出発だ。其れまでには確りしとけよ」

釘を刺される・・・。

「へいへい・・・」

俺はわざとらしくそう答えてやる・・・。

母親の様に五月蝿い奴だな・・・そう思いながら。

まぁ、悪い気はしないが。

そう思いながら苦笑い。

回廊の外には趣の有る庭園が広がっていた、それをぼんやり眺めながら・・・・。

凭れ掛かった肩が暖かくて・・・うとうととする・・・

其れを目ざとく感ずかれる

「おい・・・寝るなよ・・・」

其の声に俺は朦朧としながらも笑みで返す

「嗚呼・・・・」

隣で小言が聞こえたが・・・聞こえない振りをした・・・・。

そして月明かりが2人を照らし出す。

其の冴えた光、伸びる影・・・。

美しい満月だった。




其の日は出発に相応しい、晴天。

雲ひとつ無い抜ける様な蒼・・・。

「おら!お前ら起きろ!!」

酒臭い男達に渇を入れ、大目の兵糧と、武器で軍を整える。

二日酔いの奴らの動きはとろかった。

かく言う俺もそうだったが・・・部下の手前そうもしていられない・・・。

叱咤し、尻を叩く。

昼頃には漸く出立の準備を整える事ができた。

隊列を組ませて、城門で待機させる・・・。

幽州の総大将も自分の領地に戻るらしい・・・・・。

「ご武運をお祈りしております・・・」

そう言いながら手を握り握手をする・・・。

人のいい笑顔を浮かべ・・・・。

幽州の援軍とは此処でお別れだ。

手綱を引き、見送る青州の太守に挨拶。

「本当に有難う御座いました、・・・ご武運をお祈りしております」

「いえ、礼を言われるほどの事は・・・では我々は出発しますので」

手を握り握手をして・・・出発・・そう思ったとき

「嫌、張飛殿は酒がお強い・・・・蔵の酒が殆ど無くなってしまいましたわ・・・」

と冗談半分に言われる・・・

「嫌・・・流石にあの量は可也こたえましたよ・・・」

俺は照れ笑いを返す・・・

「何、益徳は酒には目が無いからな・・・・」

と玄徳がちゃちを入れる・・・

笑う一同・・・・其れはとても清々しかった。

「さて、それでは参ります・・・・」

その言葉で一斉に、隊列が動く・・・

馬首を広宗の方角に向け出発したのだった。





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