【小説】

■□ 三国一 22 □■




頭が痛い・・・・と俺は思っていた。

原因は是・・・・。

鏡の前の自分はどう見ても、侍女からかけ離れてる・・・

「・・・・」

朝廷の後宮・・・俺は其処に居た。

侍女に扮してるとは言え・・・・。

美しい庭園や、建物、調度品・・・・・。

何だかとても・・・・とても居心地が悪いのは気のせいではないだろう。

もうどうにでもなれ・・・そんな感じである。

多くの者が目立つ俺を見え・・・・何か良いたげにするのみだった。

そりゃそうだろう・・・・どう見ても・・・・男。

「あの・・・・」

今日のこいつは勇気の在る奴らしい・・・・この空間で可笑しい点を指摘しようとする。

そうだ、言ってくれ・・・。

この際、そうでもしなければ、この状況は改善されないだろう。

然し・・・、

其処を有無お言わせない口調で遮る。

「何ぞ、朕に可笑しいことでも在るのか?」

にこやかな口調、然し目が笑ってませんぜ・・・献帝。

こめかみの頭痛が一際激しくなる。

嗚呼・・・・。其れを言うと大抵の者は言えないと思うんだが・・・。

「・・・否・・・」

案の定そいつも目を伏せ、何事もなかったように接する。

チーン、彼の勇気は無くなった様だった・・・・、そして俺の希望の光りも・・・ううぅ。

流石に・・・流石にさ・・・・、もう良いと思うんだよね。俺頑張ったと思うんだよ・・・・。

「献帝・・・・ちょっと・・・・」

俺は意を決し、人が居ないときを見計らって、話しかけてみる。

「ん・・・・?なんだ」

彼は、普通に接してくれているが・・・其れは献帝の人並み為らぬ精神力の賜物であって・・・。

察している俺は、ちゃんと事実を言って・・・。

「なぁ・・・・・、是はいい加減目立つと思うんだ・・・・その・・・衛兵なんてのは駄目か?」

ちゃんとした、改善策を提案をしてみる。

逃げではない決して。

空かさず返される言葉。

「其れでは、奥まで行けんではないか」

いや・・・・後宮の奥なんて行きたくないんですが・・・

其の本音を飲み込む。

多分彼には俺より海より深く山より高い崇高な考えがあるのだから・・・そう言い聞かせて。

「朕が、宦官めらに謀をされてもよいと申すのか・・・・」

悲しげな目を向けられる・・・・う・・・其れを向けられると・・・。

俺は昔から女、子供に泣かれるのは弱いんだよ・・・・。

言っている事も正論だけに・・・・何もいえない。

「いや・・・其処までは言ってねえよ・・・・」

俺はうろたえる・・・・。

其の時だった、人の気配が動く。

少しすると部屋の外に従者が来て。平伏したまま告げる。

「帝、薫卓相国が遭いに・・・呂布も一緒に御座います」

俺は其の言葉を聞いて、嬉しくなる。

あいつ、元気にしてるかな・・・・・?

遭いたい・・・。そう思った。

けど、本来、帝には奉先って合えないんじゃ?

そう思いながら・・・。

「呂布か・・・・」

献帝は苦虫を噛んだ顔をする。

「本来ならば、奴は一人で合わねば為らぬというに・・・部下をつれるなぞ・・・」

そう、零す言葉。

相国とはいえ、曲がりなりにも家臣な訳だから、一人で来るのが礼義・・・。

「・・・・呂布が悪いんじゃないんだ・・・・あいつ、弱み握られてるから・・・・」

俺は咄嗟に言い。奴を庇う。

献帝は溜息を吐くと、俺に笑顔で答える。

「解ってる、だから御前も此処に来てくれたのだ。この国で、呂布の戟を受けれるのは御前しかおらぬて」

そのお言葉に俺は正直、照れる。

「いや・・・・俺以外にも猛者は五万といるさ」

そう言いながら、俺は照れ隠しに顔を掻く。

「・・・すまぬが来てくれぬか?」

帝からその言葉が投げられる。

「あ・・・良いのか?」

侍女なんて連れて・・・。

本来ならば、文官や宦官が居るべきだ。

「何、向こうとて部下をつけておる。此方とて侍女位付けても許されよう」

彼は、年相応の悪戯っ子を思わせる笑みを浮かべ言う。

「御前の危惧は解るが・・何心配ない、もう一人御前と変わらぬ位の女丈夫を付けるからな・・・」

目立たない・・・・と言う事だろう・・・。

其れを早く言え・・・。

俺はゲッソリとしながら付いていった。

「献帝、本日も益々の御清栄の事、喜ばしい事で御座います」

平伏した巨漢を献帝の傍で見守る。

少し後に控え、平伏している大きな偉丈夫、見誤る事はない・・・奉先だ・・・。

顔を上げないかな・・・。俺のこと解るかなぁ・・・・。

「何、朕の知るところではない、薫卓相国のお陰であろう」

勿論嫌味なのだろう・・・・。

「否・・・・疎の様な・・・・」

そういいながら顔を上げる薫卓相国と、奉先。

「はて・・・・御付の者が変わられましたかな?」

「嗚呼、最近は物騒なのでな・・・・少しでも腕に覚えの在るをと思ってな・・・何、是でも侍女だ問題は有るまいて・・」

件の女丈夫は・・・・・俺よりでかかった・・・縦にも横にも・・・。

そうだね・・・・・俺・・・目立たないよ是なら・・・・・。

空ろな目でそう思いながら、顔を見られないように、平伏しながら目を覗かせる。

奉先は俺の方を見ているようだった・・・・。おお!流石、盟友!こんな形でも俺と解るか!

俺は、長い薫卓相国のだみ声を平伏したまま流していた。

「為るほど、それはそれは・・・、予は、献帝の女子の好みかと思ってしまいましたわ」

不快な笑いを上げる奴。

「はっはっは、まぁ当たらずとも遠からずでは在るがな、お主程ではないぞ」

それに笑って答える献帝。

何か凄い会話な気がするが・・・・・。

けれど、其れよりも、俺には其の奥に居る存在が気になっていて・・・・。

・・・ずっと、奉先の目線は其の間俺を見ていたようだ・・・。

・・・とほほ・・・いろんな意味で痛いこの状況に俺は、必死で顔を隠しておくしかなかった。

嫌・・・若しかしたら、俺の気のせいで、若しかしたら・・・隣の女丈夫のことが好みでずっと見ていた・・・?!

・・・まぁ、好みは人それぞれだもんな・・・俺だって、玄徳の事が好きなんだし・・・・。

嗚呼・・・・そう言えば・・・玄徳・・・元気でやってるかなぁ・・・・彼の顔を思い描く。

他人がどう思おうが、俺にとって彼の笑顔は何者にも変えがたい物なのだから・・・。

両思い・・・・無理なんだろうな・・・、責めて彼の役に立ちたいな・・・。

そう思いながら、その状況をやり過ごしていた。








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