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■□ 三国一 12 □■ 背後からの奇襲。 「然し、あの妖術が相手だぞ?」 雲長が、心配したように話す。 「嫌、妖術はまやかしだ。風が駆け上るあの独特の地形の所為で、あのような突風、 雷鳴が鳴るのだ」 玄徳は博識を振りかざすように言う。 雲長が唸る。 あー・・・、騙されてます! 「流石、盧植先生で学びし徒。然し、疎の所為となれば、尚更我々に策はないのでは?」 待ってましたとばかりに、切り返す。 「そこでだ、背後の断崖絶壁をよじ登るという奇襲にでようと思う」 「あの断崖絶壁を・・・ですか?難しいのでは?」 雲長が眉間に皺を寄せ、切り返す。 「おいおい、意表を突かなけりゃ、奇襲にはならねえだろ」 俺は笑い言う。 意外な事だったのか、雲長が俺を見る。 「そうだな、其れもそうだ」 と笑う。 俺もニヤリしてやったりと笑う。 こうして、奇襲作戦が火蓋を切った。 朱シュンが寄越した兵1500騎を正面より攻めさせ、残り1500騎と自軍1500騎の 合計3000騎を奇襲の軍に振り分ける。 范彊の顔が青い・・・何だ? 若しや、高い処は苦手なのか・・・・ 「おい范彊。顔が青いぞ」 「え!ええ、一寸・・・高い処は苦手で・・」 オドオドと話す。 煙と何とかは高い処が好きなはずだが・・・・ まぁ例外だろう・・・。 「おい俺の隣に居ろよ、落ちそうになったら帯を掴んでやる。 さっき、言ったろ死なせえって」 「張の親分!有難う御座います!」 奴は涙目だ。 ふん、寝覚めが悪いだろ? 俺が最初に教えた部下達なんだから・・・ 断崖絶壁にへばり付き登る俺達。 登ってみると出来ない事が無い傾斜だった。 范彊。遅い・・・ 俺は奴の帯を強引に引き寄せ寄りかからせる。 「え!張の親分!!」 「寄りかかってろ、1人位なら何とかしてやる」 この位なら1人連れて登れる・・・。 平地ならばある程度の猛者なのだから・・・貴重な人手を此処で落とすわけには行かなかった。 全員登り終える・・・・兵士達は昨日のあれが効いたのか、未だ怯えていた。 落ち着かせるために簡易ではあるが、儀式のようなものをやる。 玄徳は儀式を終えると厳かに話し出す。 「御前達、天を見よ!」 其処は雲一つ・風一つ無い晴天。 「儀式は成功した。神は我々を加護している。恐れることはない、さぁ行くぞ!」 兵士達は、歓声と地響きを上げ進む。 「益徳、行くぞ」 振り向くと青龍偃月刀を持った雲長。 「おう!」 ニヤリと笑う。蛇矛がうずうずとしているのが解る。 踊るように、舞うように。 回り、撥ね、突く。 一閃。 「殺されたい奴は出て来い!俺は翼人張飛なり!」 地を這う咆哮。 「関羽とは我の事、死にたい者は前へでよ!」 天を駆ける咆哮。 飢え・・・・・・其れを満たすために踊る。 強い者を求め。 「何事だ!?」 叫ぶような声が響く。鉄門峡の上で呪術をしていた奴だ。 「張宝か!?」 俺は、叫ぶ。 「如何にも、我こそ黄巾賊教主張角が弟、地公将軍張宝よ!」 そう良い様、奴は剣を抜き放ち、襲い掛かってくる。 俺は其れを、撥ね上げる、弧を描き飛ぶ剣。 其の時だった、 「益徳!」 玄徳の声が背後でする。 目を雲長と合わせる。 動きは一緒。 奴の胴を薙ぎ払う。 よろめく張宝。 其処を目掛けて、玄徳の剣が舞う。 玄徳は奴の首を跳ねた。 「黄巾賊地公将軍、張宝の首!劉備玄徳が討ち取ったり!」 其れが合図だった、蜘蛛の子散らすように逃げ惑う黄巾賊。 追う兵士達。 「簡ヨウ!俺達は残党をやってるからあれ、頼むな!」 「ハイハイ、任せなさいよ」 そう言って小隊を率い消える簡ヨウ・・・・ 何て事は無い・・・火事場泥棒・・・ 奴の女や酒の金使いを考えれば、自分で其れぐらい稼いでくれってことだ。 ・・・然し、其れは可也助かっていた事も事実で。 実際、盧植中郎将の金もそうやって手に入れてたものだし。 手先は器用だし、鼻が利くので打って付の人材なのだろう。 酒を飲みながら、俺と雲長の試合を見るのが楽しみだといったからな・・・。 こうして、俺達は黄巾賊の牙城を崩したのだった。 戻 TOP 次 |