【小説】

■□ 大鬼氏の憂鬱 7 □■




「ジョルジュ・ファルジア・・・」

俺は小さく呟いた。

『漸く呼んで頂けた・・・・・・私の名前を・・』

『私も呼びましょう貴方の名前を・・・・・・・、私のネーロ・レ・ティグレ』

「長い!」

俺は恥ずかしさを紛らわすため蹴りつける。

ベッドから落ちてしまえ!

途端に激痛が全身を襲う。

「・・・イテっ!」

『スイマセン、理性のタガが外れてしまって・・・』

力強く抱き締められる。

しかし、奴は自分が付けた覚えのない傷があることに気づく。

そう、俺の体には向こうで崎島に受けた傷や銃の後が生々しく残っていたのだ。

其のまま手首を掴まれ、尋問タイムに突入したのだった。

『何時の間に!?私という者がありながら!』

「あー、これはアッチの世界で受けた傷だ。気にスンナ・・・」

『こんなところやあんなところまで!くぅう羨ましい・・・・』

「おいっ!・・これは!・・・・・・あれだ・・・拷問・・・・・言わせんなよ・・」

予想外な言葉だったのだろう、強く握られた手首が緩められる。

『・・・・・すいません・・・ついかっとなって・・』

奴は、其のまま体を気遣うように、そっと抱き締めた。

その後、受けた傷を舐めて消毒するといって聞かない奴に押さえ込まれた、そんなことしたら反対に雑菌が沸くわ!

「ちょ!やめろ!」

俺は両足首を掴まれ大きく開かれる。

『王子、おはよう御座います。今日の予定は・・・・・・・・・・・・・・おや失礼、お邪魔でしたね』

とアリウス宰相が顔を出したかと思ったら、扉を又閉めた。

王子は扉を睨むと、何事も無かったように振り向き・・・・・・

『無粋な邪魔が入りましたが、気を取り直してさぁ・・・・』

俺は怒りと恥ずかしさに震えていた。奴の手が緩んだ一瞬の隙だった・・・・

「さぁ・・・じゃねえ!!!さぁ、じゃ!!!!!」

と良い様、奴の股間を膝蹴りしたのだった。

前回同様扉の向こうで控えている兄ちゃんの方へと向かう。

「おい。アリウス宰相だったか?兄ちゃん」

『はい、・・・おや、世渡りの儀されたようですね・・・』

「解るのか?」

『ええ、存在が確かなものになられてますので・・』

そういうものなのか・・と考えていると奴が急に片膝を着いた。

『先の事件は考えの甘さ故、起きたことであります。

もう二度とこのようなことの起こらぬ様、厳重な警備と護衛を着けますゆえ・・・』

手を挙る、すると背後から整然と6人程度の人が入ってくる。

彼らも兄ちゃんと同じように片膝を着く。

見るからに筋肉の厚さや服総が違う、奴等は兵士のようだ。

隙のない身のこなし、相当の手錬となのだろう。

『アラカナ付きの近衛兵に御座います。何処に行くのにも共を付けます様』

『ヴィルトシュヴァイン近衛兵隊長です。よろしく。』

「よろしくな」

195cmくらいの長身にしっかりと付いた筋肉。

褐色の肌に、髪はライトブロンドに、ブラウンの目。

気立ての良さそうな笑みを浮かべ、俺に挨拶をする。

年は20代後半だろうか、落ち着いた雰囲気があった。

「剣かー、やっぱりこの世界って魔法とか剣をつかうのか?」

素朴な疑問である。若しあるのなら、是非やってみたいものだ。

『剣はこの通り普通にあります。しかし魔法は才のある者意外は使えませんね、

アリウス宰相は使えたはずですが』

近衛兵隊長の返答は意外なものだった。一般人は魔法使えないのか・・・
じゃあ俺には無理だな。
「お、剣術やってみたいな」

任せろ、ドスなら良く使ってた。

『アラカナ様は普通に魔法が出来るはずですが・・・神なのですから・・・』

俺じゃ出来ないと思ったが、意外とアラカナって存在は凄いらしい・・・

「そうなのか?何か教えろよ遣って見る」

『初歩のでしたら・・・、目を瞑ってください・・・』

俺は目を瞑る。

『深呼吸をして、火の精霊達が手に集まってくるそんなイメージで・・・』

火の精霊・・・?火の粉みたいなかんじなのか・・・ふむふむ

しばらくすると、ゴウゴウと大きな音をたてている・・・なんか音大きくないか?

そっと目を開けると、其処には巨大な人の形をした炎・・・・・・・

『吾、黒きアラカナの呼びに答えし、四精霊王が一人、火の王エフリート』

え!?ちょっと!もうちょっと軽いのでよかったんです。人魂程度の、

天井思いっきり燃やしてますよ!近衛兵隊長も相当驚いてるようだし・・・

『・・・・・・・いやはや、初歩の魔法で火の王エフリートとは』

笑ってないでこれをどうにかしてほしい・・・

「すまないが、もう少し小さくなってくれないか・・・他に被害が及ぶ・・・」

『御意に』

其の言葉どおり、今度は50cmくらいの小人になる。

『このまま、契約してしまいましょう。私の後に続いてください。あ、真名は王子に付けていただいてますよね?それを使ってください』

「え!?」

『我神々の王・・・ここで真名をいいます・・・古の盟約により火の王エフリートと盟約を結ばん。

我、汝の呼びに答え、其の力を与えたまえ。

我は汝を慕う者、我を災いから逃れさせ、汝の名を知る者故、我を高く上げ

我が汝を呼び求めるとき、我に答え、苦難の襲うとき、我と共にいて助け、我に名誉を与えたまえ

生涯、我を満ち足らせ。汝の救いを我に見せよ・・・です』

「えと・・・我神々の王ネーロ・レ・ティグレ、古の盟約により火の王エフリートと盟約を結ばん。

我、汝の呼びに答え、其の力を与えたまえ。

我は汝を慕う者、我を災いから逃れさせ、汝の名を知る者故、我を高く上げ

我が汝を呼び求めるとき、我に答え、苦難の襲うとき、我と共にいて助け、我に名誉を与えたまえ

生涯、我を満ち足らせ。汝の救いを我に見せよ」

長い台詞を間違わないように一句一句気をつける。

言い終わると、小人がその言葉に答えた。

『我、如何なる場所であっても、汝へとやって来て、そして汝を祝福するであろう』

言い終わると同時に、炎の人影が消えた・・・・・・・・

『いや、普通でしたら火の精霊サラマンダーあたりなんですが・・・』

エフリートが消えた後を見ると、案の定天井が焦げていた・・・・

何時の間にか、息を吹き返したのか王子は目を輝かせて此方を見ていた。

『嗚呼、さすが私のネーロ!』

「其の呼びはやめろ!大鬼孝太郎って名前がある!名前は孝太郎、姓は大鬼だ」

『コウタロー・・・そんな誰も知らない名前を教えてくれるなんて・・』

「そっちの呼び方の方が長いからな・・・」

この顔であの名前は無いと思う・・・・

本当は大鬼がよかったが・・・・背に腹は変えられない

奴はいたく気に入ったようだ、万遍の笑みで呼び続ける。

『私のことはジョルジュと・・・呼んでください』

「御前で・・・・いや、ジジでいい」

猫みたいだが、まぁいいだろ・・・”奴、御前”でも全く構わないが・・・

御前って言おうとしたら空気が氷り付いたからな・・・無難な呼び方でいいだろう・・・

ぼうっとしていると、訝しげに此方をみる奴が居た。手を額に当てられる。

奴の手は冷たく気持ちが良かった・・・・・

『コウタロー!熱が!?』

そのまま、横抱き・・・・・欲に言うお姫様抱っこをされる

「おい!?やめろ!なにす・・・!」

『熱があります。ゆっくり休んでください。』

以外に平気かと思っていたのだが、熱で感覚が麻痺していたらしい。

当たり前と言えば当たり前だ、拷問で体の隅々が痛い上に、慣れないことをしたんだ。

俺としては、お姫様抱っこは辞めてもらいたいのだが・・・・体に力が入らん・・・・

そのまま、意識が途切れた。其の夜悪夢をみたのは言うまでも無かった。




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