【小説】

■□ 大鬼氏の憂鬱 4 □■




確か、人間っていう奴は初対面の格好で印象を決めるらしい・・・。

差し詰め、生まれたまんまで遭遇した俺は奴に最悪な印象を与えているはず。

そうな筈・・・・・・・・・・

美人のねぇちゃんに服を着せられそうになるのを丁重に断り、自分で服に袖を通す。

てか、あの美人なねぇちゃんたちも170ゆうに超えてたぞ・・・・・・・と呟く。

着てみると、緩めのシャツにズボン・・・・・イメージは三銃士の様な格好・・・・・・・か?

最初は女のネグリジェみたいな服だったのだが・・・・

親切な騎士に強引に頼み、ソイツの着ていた服を頂いたのである。

その騎士は当然、俺が着るべき物を着せてやった。

裸では可愛そうだからな・・・・・・・。

暫くすると、外で何か話し声が聞こえたので俺は廊下に頭を出した。

お騒がせ王子とそのお守りらしい・・・・・・・・

すると、その王子は急に笑顔になり俺に抱きついたのだ。

どうやら先ほどの話は一般人に限定されていたようだこいつには適応されないらしい・・・。

俺は裏拳をして奴を止める。

流れるような動きには自信が有るのだが・・・・・・・

しかし予想外にも拳は奴の手に収まっていた・・・・・・・・・止められた?

奴は俺のその動きを気にせず。

『黒きアラカナよ・・・・』

ウットリとした眼差しで近づいてくる・・・・・・・背後から!

てか良く見たら壁際に追いやられてる!逃げれないぞ!

とっさの肘鉄・・・・・無心に打ったのが功を奏してか奴は2回目のKOに喫したようだ。

ついでとばかりに、奴の股間も蹴り上げてやる。

なんか、敵のLVが上がってきてないか??・・・・・・今のうちなら殺れる・・

大事なことになる前に・・・・殺るか・・・・・・・・・と不吉な笑みを浮かべて考える。

『王子・・・・・・・・・』

こめかみを抑えた、さっきの兄ちゃんが話かけてくる。王子程ではないにしろこいつもハンサム。

長い銀の髪にブルーの目、浅黒い肌・・・花背負っちゃってますな・・・・・・

何かなー。人種が違うから諦めろってのは解るけど・・・・凹むわ・・・・

自分で言うのも何だが顔は程ほどに整っている。俗に言う男前と言えなくも無いだろう、ある程度もてる部類に入るはず。

しかし、こいつらのはlvが違う。

そうだ、まともな奴がいるときに、この状況が今どうなってるか聞いて置こう。

「ところで、アラカナ?って俺のことか?アルカナって何だ?」それは相当前から疑問に思っていたこと。

其の答えに、王子のお守りが穏やかな口調で答える。

解りやすく子供に説明するように・・・

『ええ、貴方様はこの国の守護者にして伴侶であられます黒きアラカナなのです』

ん?俺が・・・??なんだって??

「は?・・・・ええと、良く解らないんだが・・・」

奴は一つ咳払いをして先ほどよりも細かく説明した。

『黒きアラカナとは・・・・・神々の王。アラカナとは神の一種。其の力は国に富と栄光をもたらします。

我々の国では国王の継承権が有る者が成人になりますと、神殿に赴きそこで儀式を行い、

そこで、アルカナに出会えたものだけが、次期の王となる訳です。アルカナは其の国を守り、一生を捧げます。

今回、王子は神話でしか伝承の無かった黒きアラカナと出会ったわけです。これは大変誉れ高きことなわけでありまして・・・』

・・・・・・俺は何やらレアモンスターな様だ。それに一生?って言ってなかったか?

其処で奴は外見だけなら別嬪の何処か迫力のある笑みを浮かべ、こうのたまった

『王子の世渡りの儀を執り行い、王子と契りを結んでいただきます。』

と怖いことを言ってのける。

「契りって・・・・・・・・おい・・・・・・?」

俺のイメージしてる契りって奴じゃないのを祈るが・・・

然し、それは奴の声で現実に引き落とされる。

『心も体も一つになる・・・・其れが契りです』

当たりデシタネ・・・・・

俺は、其の現実に愕然とし、どうにか打開案を見出すべく色々提案をしてみる。

「あの王子じゃだめなのか?もっと相手を選べないのか?!ほら、ボインとしててさ・・・女・・・女がいいぞ!!」

何か解決策を懸命に模索する俺、男に身も心も一生捧げるのは回避させたい・・・いや、なんとしても回避させる!

奴は困った顔をしながら、少し考えを巡らせ何か思いついたらしく、こう言ったのだった。

『継承権のあるもので女と言いますと・・・・おい』

さっきのネグリジェ騎士が入ってくる。二言三言話すと礼をして出て行った。

『一応、居るには居ます・・・少々お待ちを』

そう奴は言うと、部屋の隅でじっと待っている。

王子はさして大事にされて無いらしい・・・・そのままにされている。

ソワソワと部屋を歩き回る俺。

15分程経ったとき、ついに来た。

『姫様を御呼びしました』

その声が扉の向こうでする。

『入れ』とお守りは厳かに言ってみせる。

まってましたの一言、俺はどんな美人かわくわくしながら扉が開くのを待った。

白い豪華な装飾を散りばめた扉がゆっくりと開かれる・・・・・・・。

『黒きアラカナ様直々の御呼び、身に余る光栄にございます』

跪き、スカートの裾を上げての礼をして入る。

と入ってきたのは・・・・・・・・・・・

そりゃー、ボインていったさ・・・・・・・

でもよぉ・・・・・・・・・

だ・れ・が!こんな全体にわたってボインなヤツつれて来いって言ったよ!?

ボンレスハムだろ?養豚場に帰れ!

其れは俺の視線を勘違いしたのか頬を染め、俯く。

・・・って頬赤らめるな!!!!!

鳥肌を立て心の叫びが木霊する・・・・。

『継承権があり、女性となりますと、このものしか・・・・』

奴も俺の反応に困った顔で答えるしかなかった。

究極の選択だな・・・・・・・。

片方は女と見まごう程の美人の・・・・「男」

片方は養豚場の豚よろしく全身ボインな・・・・「女」

唸り、考える・・・。

足元には未だ蹲ったままの王子、

目の前には養豚の豚よろしくの姫・・・・。

恐らく俺は其の時、余りのショッキングな自体に、選ばないでトンズラ事は、すっかり選択肢から抜け落ちていたのだった。

そう、其れが一番の選択肢だったのに・・・・。




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