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■□ 大鬼氏の憂鬱 3 □■ 「ぅう・・・・こんなナースチェンジだ・・・・チェンジ・・・」 俺は独り歯軋りをしながらぶつぶつと寝言をいった。 はっとして、飛び起きる・・・ん? ふと、辺りを見回す・・・俺は寝る前とは違う場所に来ていた。 高い天井、高価そうなシャンデリアが垂れ下がり、白い天蓋のベッドにはレースが是でもかと付いていた。 大きな窓にビロードのカーテン、重厚な刺繍の入った其れ。 豪華な調度品に囲まれたその部屋はさしずめ王宮とかそんな雰囲気だ。 さしずめ俺は其の中の異端分子・・・可也浮いてると自覚している。 身に覚えの無い部屋・・・・はて・・・・?そう思う 其の考えは声でかき消される。 『おぉ!黒きアラカナよ!!!意識が戻られましたか』 と言う声に。 ドアが大きく開き、駆け寄ってくる問題の王子がいた。 キラキラとした笑顔、甘い其れ。 美貌をより輝かせて・・・・。 「・・・・・・・げぇええ!お前もチェンジだチェンジ!」 と叫びながら、俺は飛び起き、部屋を逃げ回る。 『嗚呼!どちらへ行かれるのですか?!』 何か言いながら奴は懸命に俺を追う。 然し、俺の方が動きがいいようだ・・・逃げるそれに王子は捕まえられないでいた。 暫しの格闘。 棚の上、ベッドの下、・・・・勿論豪華な調度品は落ちて破壊され、カーテンは見るも無残にぼろぼろだった。 身軽に飛び、奴の足の間を擦り抜ける 偶々、運が良かったのだろうか・・・足を掴まれそうになる・・・・。 咄嗟に引っかき言ってやる。 「捕まるか!この鈍間が!」 と暖炉の前を横切りながら叫ぶ。 ふと、頭上で 『何をなさってるんですか?王子』 という冷静な声がして、ひょいと俺が持ち上げられる・・・・ 首の皮を持たれる其れ・・・・猫の正しい掴み方だ・・・・。 首の苦しさを我慢しながら、本能で丸まってしまう其れ。 そいつは俺を持ち上げまじまじと見る。 『アリウス宰相!良くやった!!この方こそ私の黒きアラカナだ』 叫び、そいつに駆け寄る。 王子に渡すな!?と言う思いは裏切られ・・・ その儘、王子の腕に落とされる。 うっとりと俺を抱き上げると、王子が頬擦りをしてくる・・・・・・ うう・・・やめろ・・・・苦しい・・・・ 俺は力任せに寄せられる頬と、力強く抱きしめられる腕にへとへとになっていた。 其れを、捕まえた男は冷静に眺めているようだった。 ・・・てか助けろよ・・・・。 王子とは違った少し繊細な美貌・・・まぁお約束だがタッパはデカイ・・・・。 然し、線は細かった。プラチナブロンドというのだろうか銀に近い金髪を腰まで流し アイスブルーの瞳は近寄りがたい美貌に花を添えていた。 額には何やら、赤い宝石の付いたネックレスのような金の鎖が付いているし・・・。 何より・・・頭が良さそうだ。 まず、奴はこの部屋の凄惨な状況に眉を寄せ、次に俺達に向き直る。 『未だ、お二方共会話・・・・通じてないようですが・・・』 眉を潜め低い声で言うそれ・・・俺には解らない物だが・・・何やら、会話をしているようだ・・・ 『宮殿での祭事の際、世渡りの儀を試みたのだが・・・・失敗してな』 と言いながら苦笑いをして、幾分薄くなった傷を見せる。 『王子・・・・其れは拒否されてませんか?』 そいつは再度、眉根を潜めている。 『ははっは!何言ってるんだ、言葉が通じてないからこんな事になったのだよ、 きっとちゃんと通じてればこの様な事にはならなかった筈・・・』 ノー天気そうに何かを言う王子は笑っているのだった。 『僭越ながら私も手伝わせていただきます』 と何かを喋ったかと思うと強い力で俺を抱き上げ、王子に向ける。 両腕を掴み上げられ、ブランブランとする俺。 ん?・・・何だ?・・・・。 『いやぁ、恩に着るぞアリウス宰相・・・・さぁ私のアラカナ・・・世渡りの儀を・・・』 笑顔で何か言う奴は、俺に向き直り、どんどんと顔が近づいてくる・・・・。 是は・・・・俺のカンが危険を察知する。 「やめろおおおおおおおお!男とキスなんて断固断るぞ!!!!!!」 俺は懇親の力を振り絞り、王子を足で食い止める。 『くっ!・・・黒きアラカナよ貴方のためでも有るのですよ?』 と笑顔で足を捕まれる。やばい!此の侭だと接近・遭遇は回避不能だ・・・! どんどんと迫ってくる顔・・・・・・・・凄まじいくらいの美男子だ・・・・・ 顔を懸命に反らすが・・・・それは回避するまでの物では無くて・・・ ヤバイ・・・俺は焦って目を瞑る・・・・・・その中でやはり精神的な葛藤は続く・・・・ 是くらいの美男子だったら女と思ってキスぐらいはいいんじゃないか?夢だろうし・・・・そんな妥協の声 ・・ってまてまて、大鬼孝太郎!お前は任侠の漢の中の漢!!!断固拒否する!!! 負けそうになる自分に渇を入れる。 くわ!と眼を見開き、俺は奴の綺麗な顔に頭突きをかます。鈍い音・・・・ 『うっ!!!』 口を押さえよろける相手。 狙いは外したが口に当たった・・・・・・可也痛いはずだ・・・・・ 『王子!!』 うろたえた様な背後の声、手が緩む。 その一瞬の隙を見て、俺は逃げる。 良く見ると口の端から血が出てる・・・・ 流石の俺も、蹲り、血を流している王子に同情した。 「・・・・・大丈夫か?そのやりすぎた・・・すまねぇ・・」 遣り過ぎたか・・・・舌打ち。 「おい・・・」 蹲るそれに駆け寄って、傷口を見せろとばかりに抑えられた手を退かす。 『だ、大丈夫です、黒きアラカナよ・・・・』 奴は此方を向き安心させる為か、ニコリと顔を綻ばせる・・・・・ と・・・次の瞬間。 目を見開き・・・・そして何故か・・・顔を赤くする・・・・・・・ 視線が一点を凝視していた・・・・固まったまま動かない・・・・ ・・・?なんだ? そして、今度は鼻血をだして倒れた。 『アラカナ殿・・・・・・』 後ろの奴が何か溜息をつき布をかけて来る。ドウヤラ奴のマントのようだ。 奴は視線を外して咳払いをしている。 「ん?」 其処で漸く気づく・・・・自分の手が肌色の人の手・・・・それも良く見慣れた手。 人に・・・それも生まれたまんまの姿になってたことに・・・・・その時気づいた。 戻 TOP 次 |