【小説】

■□ 大鬼氏の憂鬱 16 □■




そうか、長老に遭いに・・・・・・

俺は、早速行動に移そうと腰を上げ、景気付に掛け声を駆けようとして、はたと肝心な事が抜けているのに気づく。

あ・・・、どうやって会えば良いんだ?

あの別嬪、指示するのは良いが、抜けてるぞ・・・

・・・とりあえず・・・

「土の王ベヒモスよこの城を御前の一部に!」

ごおおおおおおおおおおおおお!

城の一部が動き出す・・・・昔のヒーロー漫画を彷彿させるそれに満足した俺だった。

城も石で出来ているはずだから・・・・・・・いざって言うとき

この技を使えるな・・・

そんな事を考えながら、獣の頭で胡坐をかいていた俺。

上空で声がする

『黒の王!』

ん?なんだ?

俺は予想外もしていなかった事だった。

其処には宙に浮いた影が二つ。

アラカナだ。

ヨタヨタと降りてくる。

そして、俺が出した命令を思い出す。

安全な場所にずっと居たって事、即ち、空中にずっと放置・・・

美しい銀髪は心なしか、所々跳ねていた。

嗚呼、スマン・・・すっかり忘れてた。

あ、そうだ。こいつ等なら、長老を・・・・知ってるかも?

「長老に遭いたいんだが・・・どうやって行けば良いか分かるか?」

『流石、黒の王!精霊王を是ほどまでに使いこなしていらっしゃるとは!』

と深いグリーンの子が

『あのように長時間それも、同時になんて!』

とトルコブルーの子が

2人とも目を輝かせている。

はっはっは・・・煽てても何も出ねえぞ。

って!会話成り立ってない!

意を決し再度・・・

「長老に遭いたいんだが・・」

『あ!失礼しましたっ!』

とユニゾンで返してくる。

『遭いに行くにはですね』

『長老をイメージして遭いたいって願えば』

『そう、其れで行けます』

・・・其れは、長老を知らないと行けないって事だよな・・・

ガックリと肩を落とす。

其れを見た2人は焦ったようだ。

『あ、問題有りません!知っている者が居れば連れて行けますので』

と同時に2人に両手を掴まれる。

『あ、駄目だよ!放して』

『そっちこそ放して!』

「・・・あー、此の侭2人でいいじゃないか・・・?」

いい加減、俺も疲れた。

『でも・・・一人に飛ばしてもらわないと・・・千切れちゃうんです・・・体が』

『危険な行為なので禁じられています』

前言撤回。

「・・・じゃあ、一人が二人を飛ばすのは?」

『あ、其れは可能です』

『出来ます』

その後、コイントスで決まったのはトルコブルーの子。

ヤル気の溢れる顔で言う。

『では、行きます』

繋いだ手が急に引かれる。いや、引き込まれるだろうか・・・

世界がグニャリと曲がり、地面が無くなる。

暗闇のトンネルを抜けると其処は質素な小屋だった。

長老と言うくらいだから、もっと豪勢な家かと思ったが・・・是では隠者では?

問題の人物は、出かけているらしい、誰も居なかった。

勝手知ったる他人の家なのか、子供2人は自由に動き回り、暖かい飲み物を俺に差し出した。

恐る恐る琥珀の茶に口を付ける。

・・・甘い。

ふと、部屋のドアが開く。

『黒の王ではございませぬか?!この様な処に自ら来られるとは・・・』

其処に居たのは、誓約の儀にいたよぼよぼの爺さんだった。

「なんか、魔界のアラカナてのが・・・・俺の記憶と知識を補えと・・・

後、聞きたい事が・・・」

何故、宰相と魔界のアラカナの言ってる事は違ったのか・・・と

その爺は髭を撫で、何やら思案しているようだった。

唸り声を上げると、意を決したかの様に重い口を開いた。

『・・・神々の王には彼に仕えるアラカナが就く。

其れは大変名誉な事でな、我々の中でも特に力の強い者が成る決まりでしてな』

遠くを見るようにその瞳が細められる。

『そう、奴も其の中の一人。

其れはもう、王に献身的に仕えていましてのう。

王から離れる事は片時も無かった程。

然し有る時、

何の運命か、ブラキナの国王が王を呼んでしまってな。

2人が結ばれる。

その現実は、奴に耐えられないものだったんだろうて。

犯してしまったんじゃ、同族殺しの罪を。

禁忌を起こした奴を止めれなかったのは、

選んだワシの責任かもしれん。』

痛ましげに眉を寄せ目を閉じる。

『呪われた奴は、ブララキナの国王も殺し、

成りすまし、今まで生きたのだろう』

爺さんのせいじゃない・・・。

「呪いは・・・解けない物なのか?どうにか出来ないのか?」

咄嗟に口を付いて出てくる。

『其れはワシらにはどうしようもない事・・・しかし』

爺さんは俺を見つめる。

『呪いを掛けた本人ならどうにか成るのかもしれん』

・・・そう言われても。

「まぁ、俺の足らない知識を教えてはくれないか?

俺はアラカナという存在の意味すら知らない」

俺は逃げるように、話題を変える。

爺は皺を深め微笑む。

『そうですのう。必要と思われる物はワシがお教えいたしましょう、

御呼びいただければ参上致しますゆえ、今は城に戻られたほうがよろしいかと・・・』

誘拐されたのだから、今頃必死になって探しているのかも・・・

「いや、俺が此処に来よう、世話になったな。又来るよ」

先ほどの移動術の練習もしたいし・・・・

老人と2人の子供が俺を見送る。

今頃必死に探しているだろう、奴をイメージし遭いたいと願う

宙に黒い点が生まれる。段々其れが大きくなり人一人入れる大きさに成長した。

俺は其処を潜り、闇の中を歩く、暫くすると其処は王宮の寝室だった。




俺が城に帰ったのは、誘拐されてから一週間経っていたらしい。

城中の兵士を俺の探索にあてたようで、物凄い騒ぎになっていた。





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