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■□ 大鬼氏の憂鬱 13 □■ 大鬼孝太郎38歳、生まれて初めて痔になりました・・・。 一週間、普通に寝れず、寝返りを打つのさえ鈍痛が響く。 泣く子も黙る俺ですが、是には泣きが入りました。 勿論、回復し次第、犯人は城の天辺にでも吊り下げて置きます。 「入って来んなって言ってるだろうが!」 手負いの獣のように牙を剥く俺。 『そんな・・・コウタロー、医者にちゃんと見せて貰わないと・・・』 相手は寝室を覗くばかりで入って来れない。 当たり前だ、火の王エフリートと土の王ベヒモスがベッドの周りを守っている。 実際入ろうとした医者は火傷、骨折の被害が出たようだ。部屋も焦げ、穴が開いてる 悔しいのは奴はヒョロリとかわし怪我一つしていない所だろう。 あー、腰が痛てえ! 『タバコ・・・そろそろ切れると思いますが?』 う・・・そう、実は、後2本しかない・・・ 『ご飯もちゃんと食べてない、治る物も治らなくなりますよ?』 実際、少々痩せてしまったのは否めない。 「・・・・タバコ」 『ん?』 「タバコ補充しろよ?」 『勿論、ご飯も一緒に食べますよね?』 ニコニコと微笑む奴。 こいつ何だかんだいって、俺より強いのかもな。 急いで軽い食事が運ばれてくる。 ジジは当たり前の様に受け取り。 粥をすくいスプーンを持っていく。 ・・・俺に食えと? 『はい、コウタロー口を開けて』 「自分で出来る!」 勢い良く動いたお陰で、腰に鈍痛が走る。 涙目になる俺を見て 『ほら、動くと痛いでしょ?そのままで食べて』 うぅ・・・、誰のせいだ!? 治ったら・・・治ったら、覚えてろよおおおお! 一週間後、城の天辺に吊り下げられた国王の姿を見たとか見ないとか・・・ と街の噂。 剣術の稽古を再開させてから一週間。 体も随分と回復してきた。 そこでふと、思う。やっぱちゃんと後2元素の精霊は呼べた方が良いよな。 あの危険な包帯男の事もあるし・・・。 良し、今度は風だ! イメージならバッチリ!城の天辺に行ったからな。 俺は一息置いて、深呼吸をする。 風の精霊達が手に集まってくるイメージだったっけ・・・。 頬を触れる風が手に集まってくる感じ・・・ ・・・ん?何にも・・・ そう思ったとたん ゴウ!と急に音がしたかと思うと。 高そうな皿の飾りやら花瓶が飛ぶ。ガシャンと破壊音、・・・アチャー。 見ると巨大な人の形をした竜巻が窮屈そうに部屋を占領していた。 ・・・本当に御前ら、心遣いって知らないよな。 てか普通の精霊で良いんだよ。使えればいいだけなんだから・・・ と不平を零してたらそいつは言葉を放った。 『我、黒きアラカナの呼びに答えし、四精霊王が一人、風の王ジン』 物と言う物が飛ばされている。・・・うわ!タバコも・・・ 「すまんタバコとってくれ!」 『御意』 手にタバコが全部落ちてくる。・・・よかった。 あ、盟約しなきゃ。 「・・・・我神々の王ネーロ・レ・ティグレ、 古の盟約により風の王ジンと盟約を結ばん。 我、汝の呼びに答え、其の力を与えたまえ。 我は汝を慕う者、我を災いから逃れさせ、 汝の名を知る者故、我を高く上げ 我が汝を呼び求めるとき、我に答え、 苦難の襲うとき、我と共にいて助け、我に名誉を与えたまえ 生涯、我を満ち足らせ。汝の救いを我に見せよ」 良し、是でいいはず。 竜巻でできた人の形がその言葉に答える。 『我、如何なる場所であっても、汝へとやって来て、そして汝を祝福するであろう』 そしてまるで何も無かったかのように、消える。 部屋の中は散乱し、物と言う物は落ち、破壊されていた。 『怪我はありませんでしたか?』 慣れた物でジジは穏やかに入ってきた。 「まぁな、風の精霊を呼んだらこう」 部屋が荒れていくのは気のせいじゃないだろう。 奴は微笑むと、風でザンバラになった俺の髪をすく。 『其れはおめでとう御座います。では、後1元素の精霊を残すのみですね』 そういうや否や頬に触れるキスが来る。 「げ!やめろっていっただろ!」 俺は奴の頬を引っ張る。 其れを、平然と受け話す。 『そうだ、この前のお詫びに、馬で遠出をしませんか? 遠出といっても直ぐ其処の泉なのですが・・・ それに、後一つは水の精霊ですよね?』 馬は乗ったことはないが、好きだ、賭けるのも見るのも。 「お、いいねぇ。行くか!」 『では昼食をとった後にでも』 「おう!」 『午後の公務を休まれるのですか?』 宰相は眉間に皺を寄せる。 『私の仕事はある程度終わらせてるはずだが?』 『ええ、其れはそうですが・・・最近隣国のブラキナで不穏な動きがありまして・・・』 「ブララキナ?どんな国なんだ?」 『千年前に降りてきたアラカナを、あろう事か殺し、食べてしまった愚王が居る国です』 「千年って・・もう、死んでるだろ普通・・・」 『いえ、アラカナの呪いで、輪廻から外され、日々苛まれる苦痛を永久に受けて生きているそうです その後アラカナの降臨が途絶え、衰退する一方ですが、 アラカナ同等の力を得た国王により恐怖政治が今も尚、続いている国です』 そんな危険な国が隣にあったのか・・・・ 『噂ではありますが、その後も各国のアラカナを殺し食しているそうです・・・力を求めるが故に』 げぇ!一応猫のときも有るけど、基本人間と同じだぞ!? ふと、包帯男が頭を過ぎる・・・・もしかして・・・あいつが? 「・・・もしかしてこの前のあの包帯男が?」 『恐らくそうでしょうね』 てか呪いならもっと他に危害が加わらない奴にすりゃあ良いのに。 死なないなんて無敵じゃねえか! 「いや、其の為にも後一つ残った水の精霊を呼んでおきたいんだよ」 『・・・解りました、では是をいざと言うとき是で逃げてください』 渡されたのは、液体の入った小瓶。 『是を飲めば、瞬間的に移動ができます。』 おお!それは凄い!よくゲームとかである奴だよな? 『問題は、目的地が決められないところでは有りますが・・・』 「大問題じゃねえか・・・」 『最悪の場合の緊急手段です』 まぁそう言われたらそうだよな・・・・ 食われて死んだら意味が無いもんな・・・ 「わかった、有難く持っておく」 渋々了承を宰相から得た俺達は、昼食を済ませ、 馬屋に出向いたのだった。 独特の匂いが漂う。 覗いてみると、沢山の馬。 『危ないのでので余り近寄らないでください』 と奴は言ってたが・・・ 人間って止められるとやりたくなる性分なんだと思う。 人の居ないのを見計らってズカズカと入り込む。 んー、何だか皆大人しい奴らばっかりだな・・・ 顔を伸ばし我先にと、撫でられようとする馬達。 喰いもん持ってると勘違いしたのだろうか? すまんが無いぞ。 のほほんと馬と戯れる俺、奥で大きな嘶き声がした。 ん?奥にも居るのか、問題児で隔離されてんの? 行って見ると馬がいたには居た・・・ だが、どう見ても普通ではないのが解る。 巨体なのもそうだが、足6本・・・昆虫? 鼻息荒く俺を見据える。 ・・・お、ヤル気か? 売られた喧嘩は買います。 俺は強引に飛び乗る すると奴は暴れだす 落とせなかったら俺の勝ちだな・・・ 鬣を引き胴にしがみつく。そのまま走り出す奴。 城をぐるぐる走る、もう可也、回った頃だろうか。 いい加減疲れてきた、しかし負けるのは癪だ! 「御前いい加減にしろ!」 其の声を言うと俺は鬣を力の限り引く、 奴も振り下ろそうと、上半身を上げる。 っく!しがみつく俺 ・・・漸く、静かになった奴。 ジジが馬に乗り遣って来る。遅いぞ! 『だから近づくなっていったのに・・・・あれ、大人しくなってますね』 「嗚呼、勝ったからな」 『てっきり振り落とされたかと思い、冷や冷やしましたよ』 「そんな訳無いだろ、ちゃんと乗れてるぞ」 『いや、其の馬は誰も乗せないので有名だったんです』 居る意味あんのか? 言いたい事が解ったのだろう。ジジは苦笑いしながら話す。 『ほら、良い馬ではあるから・・・』 種馬・・・!? 可愛そうだ・・・・ 俺は同情してしまう。 首を撫でると、気持ちよかったのか擦り付けて来る。 おおよしよし、御前は俺が有効活用してやるからな。 昨日の敵が今日の友となった瞬間だった・・・ 戦いの中で生まれた友情だ。 馬との格闘を6時間もしていたらしい、そりゃ疲れるわ。 結局明日の午前に、遠乗りをする事になったのだ 宰相には、予定を狂わせて小言をワンサカ言われるし・・・ 今日は厄日なのかもしれない。 戻 TOP 次 |