【小説】

■□ 犬猿の仲間 2 □■




俺の朝は早い。何故なら朝食、洗濯、家の掃除があるからだ。

其の上、学校のラグビー部の早朝練習もある。

老人も吃驚の4時起き。犬の散歩は親爺に任しているが・・・・それ以外の世話は俺がやる分担になっている。

手早く済ませ、家を出るのが5時半。朝練が始まるのが6時。

朝食を手早く用意する。目玉焼きに、味噌汁、ご飯・・・・。

用意している間に洗濯機を回す。

俺は親爺の寝室をノックして覗く。

締め切りが間近なのか、夜遅かったようだ・・・

「親爺、飯の用意しておいたから。起きたら食えよ?」

うめき声が帰ってくる。

是は遅くなりそうだ。

俺は用意した朝食を一人で食べ、洗濯物を干し、部屋を軽く掃除機を掛け家を出る。

何時も通りの一日が始まる。




「よし!来週末には他校との練習試合があるからな気を引き締めていくぞ!以上だ!」

その言葉を監督から頂く。

「「お疲れ様でした!!」」

叫び声に似た声が木霊する。

その儘部室に駆け足。やべ・・・・・ホームルームぎりぎりだ。

俺は急いで着替え、部室棟から出る。

昇降口にで上履きに履き替え、その儘走る。

よし、其処を曲がって、階段を登ればすぐだ!

そう思いながら、走る。

全速力で曲がりその儘、階段を一段抜かしで・・・・。

と思った瞬間・・・。

そう、曲がった瞬間だった。

ゴツンという思い音と共に、目の前に火花が散る・・・。

その儘よろける俺。

「いててて・・・・・」

俺はぶつかった部分を押さえ屈む。

「・・・・気をつけたまえ」

其の声が、頭から落ちてくる。

・・・・げっ!?

其の声は・・・・・。

川西高校の生徒会長浦戸柊・・・・その人だった。

眉目秀麗其の言葉がぴったりと合う彼は眉を潜め俺を見る。

・・・俺は彼に余り好かれて無いらしく・・・何かと目を付けられていた。

何かにつけラグビー部も指摘を受けている。

練習時間がどうのこうのだとか・・・俺の素行が悪いとか・・・何故だ・・

「全く・・・唯でさえ君はガタイがデカイのだから、もう少し気を付けて動きたまえ・・・

一般人が若しぶつかろうものなら、救急車を呼ぶことになっていたぞ」

ぶつぶつとその様な事を言われる・・・。

ガーン・・・・まぁラグビー部だし・・・・ガタイがデカイのは仕方ないことだろ?

俺だって好きでこんな大きく育ったわけじゃないし・・・・。

彼はそれを鼻で笑い。足元に散乱した書類を拾う。

俺も急いで彼の書類を拾う。

「本当にすいません・・・・」

そう言うしかない・・・。前方不注意な俺が悪いわけだし・・・。

慌てて、そう言って紙を拾う・・・・・。

「イテっ・・・・・」

瞬間、鈍い痛みが指先を走る・・・。

見ると指先には赤い線が走っている・・・嗚呼、慌てて拾ったから・・・切っちまった・・・。

嗚呼・・・・泣きっ面に蜂って奴だなぁ・・・・そう思っていたときだった。

「・・・・貸しなさい」

傷付いた方の手をその儘拾われ・・・・指先を舐められる・・・・。

・・・・・・へ?

余りのことに白くなる俺。

「・・・犬臭いが旨いな・・・・」

ぼそりと何か言った気がしたが・・・

・・・・・・空耳?

そう思っていた・・・其のとき。

キーーーーーーーンコーーーーーンカーーーーーーンコーーーーン・・・・・

げ!?ホームルームの鐘?!うう・・・遅刻だ・・・。

「拾ってくれて有難う・・・」

ニコリと笑みを返される。

俺は赤くなっておどおどする。何時も俺に冷たい目しか投げてこないのに・・・。

「いぇ!俺こそすいませんでした・・・急いでて」

「嫌、其のせいで遅刻させてしまったようだ・・・まぁ、定例会は今日だから忘れないように・・・」

それだけを言うと何事も無かったように行ってしまう。

俺は呆然として其れを見守っていた。

遅刻した俺は、担任にこっ酷く叱られたのは言うまでも無い。




其の日の定例会でも、何故かラグビー部が的に上がる。

まぁ、人数もギリギリの上、問題児も2・3人居るってのもあるが・・・・

そいつらだってちゃんと練習には出ているし、偶々喧嘩っぱやいてだけなのだ。

俺は彼らと生徒会とで板挟みに遭っているといっても過言ではない。

「だからいってるでしょう!彼らは自分から手は出してない!」

俺は何度も同じ内容を話す。

「然し、事実学校には苦情が寄せられているのですよ?」

そしてそれは繰り返される。

「・・・・もう良い是では押し問答だ・・・・是ならばどうですか?」

「な・・・何がだ?」

怯える俺。

「今度の地区大会で優勝をしてもらう・・・それでどうです?そうすれば我が校に貢献したことになる」

・・・・前回の地区大会は確かベスト8・・・。

全く無理な話ではない。

「・・・・解った。その代わり優勝した暁には彼らの事は目を瞑ってくれ、一応俺からも言っておく」

「若し、優勝できなかった場合は・・・・そうですね・・・・文化祭の後夜祭のダンス相手になっていただきます」

そう言いながら、笑う。

絶対に其れは嫌がらせ以外の何でもない奴だ。

「もちろん、貴方が女性パートですよ?」

笑う一同。恥ずかしさで赤くなる俺。うう・・・・いじめだ。

然し、其れは優しい物だ、廃部な訳ではないのだから・・・。

「・・・嗚呼解った、絶対に守れよ?」

是だけは言う。

「勿論」

にやけた奴の顔が無償に腹が立つ・・・・、有る意味この高校の絶対権力者。

秀才、眉目秀麗、金持ち、そのうえ・・・俺には負けるが背もソコソコに有るときた・・・。

定例会が漸く終わると、俺は逃げるように部室に行く。

こうなっては、地区大会優勝しかあるまい!

鼻息も荒く、ズンズンと歩いていったのだった。




「「ええっ!?」」

から始まった言葉は

「「無理っすよーーーー!」」

の言葉で終わる

部員全員の反応が其れだ。

凹む俺。

「そ・・・そんなことは無いだろ?ほらこの前はベスト8だったじゃないか!?」

そう言う俺。

「早計だったな・・・で?何を賭けた?」

副部長の掛川が問う。

俺の行動パターンは解りきっている様だ。

「・・・・俺の後夜祭のダンス相手・・・女性パートやるって・・・」

ぼそぼそと言う・・・。

「・・・・笑って見物してやる・・・・」

ポンと肩を叩かれる。

おいおい、もう負けた事前提で、話し進めるな!

俺はこの面子ならば出来ると思ってるぞ!優勝!

「まぁ、俺達の為に部長が遣ってくれた事だし・・・出来る限りの事はしようぜ?」

問題児その1・剛田が言う。

お前其処はまともなのに・・・何故手は誰よりも早いんだ?

そう言いたくなるのを喉で押しとどめる。

言ったら最後、部長の俺でさえ拳が飛んでくる。

「そうだな・・・・と言う訳で、大会まで残り少ない!練習は厳しくしてくからな!」

そう言うとむさい部員共は身を乗り出しスクラムを組む。

「「うっす!」」

是がラグビー部だ。






TOP 次  
inserted by FC2 system