【小説】

■□ 獣伍親爺漂流記 3 □■




「そうですねぇ、僕は乗りたくないんですが。上の命令でして、

まぁ向こうに着いたらどんな研究も出来るわけですからそれまでの辛抱かな。」

言えることは、どこで何をしても良いが航海の間は問題の無い様にして欲しい。

それだけだった・・・・・・・・・・・・・・・・。




第四ゲートに着いた俺とライアンは今回の貨物である犯罪者の引き取りに

最下層にある留置所に行った。

「あら、ブラッドなに?そのハンサムは」

留置所の主とも言うべきミス・クロエラは開口一番にこう言った。

俺の想像するケビンの将来像に近い彼女だったが、

彼女は頗る切れ者だった。

「ああ、こいつは今日入った新人なんだ」

「新人のライアン・ベニトンです」

俺に紹介されてミス・クロエラに挨拶をする。

「うふふ。噂は聞いてるわ。」

彼女のことだから人事に情報が行く前に分かっていたのだろう。

「まぁそんなわけだから今回運ぶ物は穏やかな奴が良いんだけど・・・」

語尾を濁しつつも、実際問題は起こしたくないので要望を言ってみる。

「あら、それは残念宛が外れたわね。

今日運ぶのはエンタレス最下層行きの奴らばっかりよ」

俺は思わず溜息をついた。

エンタレスの構造はたとえて言うならば地獄の様な構造になっている。

最下層ということは、極悪人、如いては凶悪犯罪者を収容するエリアだ。

どうやら、今回は余りついていないらしい。

「さぁ、今回の荷物よ。」

まるで映画の始まりのようなブザー音が鳴る。すると重厚な扉が開いて屈強な警官が入ってきた。

その後を全身拘束具をつけた囚人が鎖に繋がれて一列に入ってくる。

俺はミス・クロエラからもらったデーターと荷物に間違いがないか確認のため目を通す。

其の時だった、一瞬の隙を突いて最初に連れられた奴がミス・クロエラに襲い掛かっていった。




ゴン!!!!

衝撃音と共に。

「・・・・・・・・・やってくれるじゃないか・・・・」

顔も拘束具で見えなかったが、そいつは確かにそういった。
俺はすかさず電気ショックを浴びせさせて気絶させた。

ミス・クロエラは無事だった。俺が咄嗟に庇い、それと同時にそいつを3メートル吹っ飛ばしていたのである。

なんてことは無いカウンターで当身をしただけなのでは有るが、咄嗟の事とはいえ大事になりそうだ・・・・・

奴の隠し持っていた刃物は俺の頬を走ったが傷は浅かった。

「ブラッド・・・・・・」

ミス・クロエラは俺の頬に伝う血を見つめ、長い指先でなぞる・・・・・・・・・・・・・・

「有難うといいたいけど・・・・無茶はしないで・・・」

真っ赤なルージュを塗られた口は血に濡れた指を舐める・・・・・・・・・

「おい、お前は何年此処の看守をやってるんだ?」

地獄の底からの声が、名も知らない屈強な警官に向けられる。

「クロエラ様!す・・・すいません」

「・・・・・・いい、大した傷じゃない」

可哀想に蛇に睨まれた蛙よろしく固まってしまっていた。まぁ止めないと死人が出てしまう。

「とっとと運んじまおう。」

縮こまってしまっていたそいつから鎖と鍵とデータを受け取る。

「ライアン悪いが、その用紙にサインをしておいてくれ。」

同じく固まっていた奴はその声で動き出す。

「ぁ、はい!」

俺たちは何とか事務仕事を済ませ、荷物を搬入したのだった。



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