【小説】

■□ 獣伍親爺漂流記 2 □■




「先ほど紹介頂きました、ライアン・ベニトンです。分からないことも多いと思いますが指導のほどよろしくお願いいたします。」

朝礼で紹介された新人は若さと正義に満ち溢れていた。

「ブラッド、ベニトンくんのことは任せたらかな。」

すれ違いざま肩を叩かれる。

なるべく穏便に・・・・か。パッとしないが品行正しい俺と居るのが一番無難な選択ではあった。

何時も俺は貧乏くじを引く・・・・・・・。

「ベニトンくん、俺が君の教育係というか・・・・・護送でペアを組むブラッド・ハーンだ。よろしく」

「ライアン・ベニトンです。よろしくお願いします。」

差し出された手というものに不慣れな人種ではあったがノロノロと手を合わせる。

強く引っ張られたかと思ったては次の瞬間力強く振られていた。

清潔そうな笑顔をこっちに向けられても困る・・・・・。

「さて、今日の午後一番の便が俺たちの乗る便だからそれまでは自由だ。出発は13:30、

集合は13:00に4番ゲートだ。質問は?」

「了解です。あの・・・先輩自由時間の間すいませんがこの施設の案内おねがいしてもいいですか?ゲートの位置も曖昧なんで・・・」

要請をされたら必ず動かなければならない暗黙の了解だった。





ライアン・ベニトンに施設の案内役を指名された俺は午前中を使い簡単に施設を回った。

国際手配級の犯罪者が世界中から集められここに運ばれてきるので。

規模も大きいし警備も厳重だ。

俺達は3時間くらいかけて要所を回った。

漸く一通りみて回った頃、昼休みのサイレンも鳴ったので案内ついでにと食堂へ連れて行く。

マッシュポテトとサラダとスープをトレーに装って席に座る。

ライアンも俺を習ってトレーにいくつか盛って向かいの席に座る。

「先輩はベジタリアンなんですか?」

俺のトレーを眺めたライアンはそう質問してきた。

「ベジタリアンというか・・・・・肉が食べれないだけなんだ」

「・・・・・?」

「こいつは大戦経験者なんだよ。それも第一エリアでの生き残りさ」

聖人の様に宗教や生き物の死を憂いてというわけではなく、

死体を見すぎて肉が食べれなくなったというそれである。

あのエリアには実際食料も途絶えていたので、人間を食ったやつも居たが・・・

おせっかいが大好きな整備士のケビンが口を挟む。

ケビンのトレイには肉とデザートしかのってなかった。

「第一エリアっていうと・・・・・あの?」

「そうあの・・・・ほぼ壊滅したエリアさ」

そんな物騒なことを言いつつケビンはチキンフライを豪勢に頬張る。

こいつは今は若さもあってスマートな色男かもしれないが将来はボンレスハムだと確証している。

「そういえばバラガン候もそこの生き残りだね。」

奴はこの国で大戦での功績をたたえられ英雄といわれてる奴だ。

「ケビン・・・・・・・だまってろ」

「おぉ・・・こわ・・・・新人君もへんな・・・・ぅわ!」

セロリのスティックをヤツの皿にたっぷり置いた。ちょっとした嫌がらせである。

「ブラッド・・・・・・俺がセロリ嫌いなのを分かっててやったね・・・・・」

「ボンレスハムにならないように気を使ってやったんじゃないか。

ライアンそろそろ出航の準備だぞ」

「ぁ!はい!」

ヤツは残り少なくなっていたマッシュポテトを急いで片付け、席を立つ。

「へぇ、もしかして13:30の便ですか?」

向かいのテーブルに座っていた人物が話しかけてきた。

飄々とした口調で何を考えているか分からない、そんな雰囲気だった。

訝しげな表情をしていると向こうも漸く気づいたのか、名を名乗った。

「あぁ、失礼、僕はエンタレスに新設される研究施設の一応代理主任になることにきまってる、

アーサー・べックです。

そして彼は助手兼護衛のヨハネス・フォン・シュレイヤー」

眼鏡の奥には作った笑顔が張り付いていた。

後ろに控えている、助手が紹介をされて軽く会釈をした。

その手の職業の身のこなしだというのが一目瞭然だった。



「13:30の便は我々が護送する便だが・・・・、あなた方も乗られるのですか?」



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