【小説】

■□ 人生と言う名の媚薬 9 □■




気が付いたら其処は鏡の上だった。

手を伸ばすが、見えない壁が有る様だ、出ようとしても出れない。

外には、鎖で岩に繋がれた南斗の姿があった。

『起きたか?』

声がする。重々しい鉄の扉の前に朧が立っていた。

彼は日頃きている白に統一された着流しに羽織を着ていた。

「朧!此処から出して!もう儀式は終わったんでしょ?」

『否、御前から姫神が抜けるまではこのままだ。月が欠けるまでは、御前を抱かねばならん』

「・・・俺に子供ができるまで?」

『・・・産むまで其処からは出れん』

「南斗・・・、南斗は大丈夫なの?意識が無いようだけど・・・」

『御前達を引き剥がした所に、御前を助けようと力を使った・・・生きてはいるから心配無い』

其の時だった、気絶していた南斗が少し動く。気が付いた様だ。

『ゥ・・・・北斗・・・』

南斗が呻く。

「南斗!」

その声で彼は此方向く。

鏡の檻に座る俺。

次の瞬間怒りをその目に浮かべた。

『御前!北斗ヲ放セ!!』

目で見ても解るほど、気を放つ。然し、鎖は千切れる事が無かった。

『御前は静かにしておけ』

鎖が鈍く光る。

『グァ!』

痛むのか南斗は悲鳴を上げ、又意識を失った。多分鎖に何か呪術が掛かってるのだろう。

「南斗・・・」

俺の片割れ・・・・・・

『血を残すのは一族の長の勤め。御前の母が逃げたのだ子の代に因果は引き継がれる。

皮肉なものよ、北斗。御前は父に瓜二つだ』

「父さんに・・・?」

『そこの南斗は母親に・・・・・御前達の母は皆を誑かして、御前達を生んだんだ。』

其れは母の罪。

ふと、朧は自虐的な笑みを零した。

『もう、いい頃合なのかもしれん・・・』

何を?余りいい話ではないのはなんとなく解った。

『私と御前達の母親とは共に同じものを好いていた』

俺の父親を?

『御前の父親は親友。しかし私はそれ以上の思いを胸に秘めていた』

恋敵を取ったのが血を分けた妹。それも、対の者になるはずの者。

朧の親友であった俺の父親、そして瓜二つの俺は天の一族。

「朧は俺に父さんの面影を見てるの?」

彼は笑って俺の頭を撫でる。

ないと言って欲しい。それはエゴだろうか?

だからとて、そう言われても、どうなる訳ではないのに・・・

全て割り切れれば良いのに・・・・

『そうだな』

悲しげに彼は笑った。何だか俺は感覚が麻痺したみたいだ・・・

モウ、ドウナッテモ良イ、疲レタ・・・

「体だけ・・・・貸すってことだね・・・要は世継ぎを産む為」

悲しいのは何故なんだろう?叫べれば良いけど叫べない。

只涙だけ、止め処なく溢れる。

『・・・すまない、是が終われば自由にしよう御前を・・・。』

朧は手を伸ばそうとするが、其れは俺の手で遮られる。

下手な優しさは欲しくなかった。

「うん。終わったら南斗と話したいな、色んなことを・・・。」

涙を堪え俺は笑う。



どうやら、あれから南斗は他の部屋に移されたらしい。

俺は安堵する。双子の片割れに余りこういうのは見せたくない。

朧は、その夜も此処に来た。これから一ヶ月続くのか・・・・

『瞑っておけ』

俺は言われたとおりにする。少しは現実から逃れる事が出来るように・・・

闇の中、体の上を口付けが流れる。緊張を解す様に。

「・・・ぁあっ!」

こういうことに免疫の無い俺は、堪らず声をあげてしまう。

朧の手が俺の目を隠す。・・・・・・・暖かい闇。

口は腰まで行くと、半分起き上がってきた雄を含まれる。

執拗なに嬲られ思わず上がりそうになる声、だが俺は自分の手を噛む。

何故か其の時、声を出したくなかったんだ。

是は義務なんだと思わせる為なのかも知れない。

荒い息使いの合間に、響く舐める音。

目を隠し、口を閉じたが聞こえてしまう・・・・・

耳も聞こえなければ良かったのに。

露を滴らせて喜ぶそいつは、俺の気持ちは無視した物で

快楽に素直で限界を示し天を仰いでいた。

嗚呼、もう駄目だ限界に近い。

彼は其れが解っているのだろう。最後の留めとばかりに強く吸われる。

「んっ」

白濁した其れはそのまま彼の手に出された。

雄の本能なのだろう、俺はそこで一息ついてしまう。

しかし、其れで終わらないのは昨夜のあれで解っていた。

俺の出した物を使って、其処を解す。

昨日の今日と言う事も有ってか指はすんなりと入る。

切れていたので痛みもあったが。

繰り返し出し入れされる卑猥な音に、俺は顔が赤くなる。

自分の体で出される音。赤裸々な現実を顔面に突きつけられた気持だ。

「ん、んぅ・・・」

時間を置いて増えていく指。其れを飲み込む自分が怖かった。

ふと、俺を苛んでいた指が抜かれる。

しかし、休む暇はなかった。

直ぐに、其れよりも熱く大きいものが其処に添えられる。

『・・・息を吐いておけ』

俺は言われた通りにする。

深く吐く息は、溜息に似ていた。

強い圧迫感と共に其れが進んでくる。

堕ちて行く・・・・・・・このまま・・・・

そんな気がした。






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