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■□ 人生と言う名の媚薬 8 □■ 俺は其の夜も、彼に遭いに行っていた。 毎日変わることなく咲く赤い花、やはり其れは世の理から外れた物なのだろう。 しかし、花は毒々しいほど美しかった。 其の花を13年間見続けた感想だった。 俺は随分と背が伸び、朧までとは行かないまでも、朧の目のあたりまで、髪も腰まで伸び、横に流すように結っていた。 しかし、日に日に成長してきても男らしさというものが余り無く、言われる言葉は美しいだの、綺麗という言葉。 正直、朧のように男臭くなくても美男子といわれたがった。下手をすると女の様な顔だから・・・ 「・・・明日から用事があるからこれ無くなるんだ・・・」 『そうか、早いものだなもう元服か。本当の吾に遭う日も近いのだろうな』 13年間変わることの無い彼はそういったのだった。 赤銅の肌、白に近いザンバラな銀髪、射るような鋭い金の瞳を持った童のまま・・・ 「其の姿は本当の姿ではないの?」 俺は岩に寝そべり月を見上げる。 『嗚呼、この姿は吾の魂を飛ばした姿だ。余りにも暇なのでな』 「そっかぁ、明日から俺居ないけど・・・これ」 俺は懐に忍ばせた銀の筒を渡す。 『ほう、是は何だ?』 「万華鏡っていうものらしい。明かりに向けてこの穴を覗くととても綺麗なんだよ、回しながら見ると模様も替わる」 『おお!綺麗な模様が果てなく見えるぞ』 彼はとても喜んだようだ。 「また、必ず戻ってくるから」 『嗚呼、何。吾にとってはそれは瞬きの時間と同じだ』 覗きながら、彼はやさしい言葉を言った。俺は別れの挨拶を言い、床についたのだった。 朝、其の日は何時もと違っていた。 着せられるのは質素な白の着物、それに帯。 まず、朧が話があるとの事だったので、朝餉を共に行うこととなったのだ。 『忙しい所すまんな、北斗』 「いえ、ところで話とは?」 『南斗と北斗を分けることが出来るといったらいかとする?』 「え・・・出来るんですか?」 『嗚呼、恐らく御前の母が双方を生かすため取った策なのだろう。片や力が強すぎ体は弱く、片や力は少なく体は強い 成長すればどうということは無かったのだろうが、器に満たない力と器は大きいが小さすぎる力はどちらも死しかなかったはずだからな』 双子の片割れ、彼が出ているとき俺の意識は無く顔すら見ることができなかった無かった。 「出来ることなら、・・・南斗に会って見たい」 『そうか・・・、御前達の体も力も十分に成長し各々の欠点を補えるまでになった。今宵、祖神の力を用いて本来あるべき姿に戻す』 夜になり、月が顔をだす、その光りであたりは幾分青白かった。 聖域である屋敷の再奥にある洞窟の中。 目の前には地底泉が有る、 俺は両手両足を泉中央にある岩の寝台に括り付けられていた。 これから始まる事に不安が過ぎる。 暫くすると、朧がやって来る。 俺の前に立つと口を開け祝詞を言う 『高天原に神留座す。神魯伎神魯美の詔以て。 皇御祖神伊邪那岐大神。 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に 御禊祓へ給ひし時に生座る祓戸の大神達。 諸々の枉事罪穢れを拂ひ賜へ清め賜へと申す事の由を 天津神国津神。 八百萬の神達共に聞食せと恐み恐み申す』 すると彼の手が、鈍く光出し、その光はやがて一つの鏡の形になった。 光が収束すると、手の中には10cm程の鏡が有る。 朧は次の瞬間其れを割る。すると俺を括り付けていた寝台の代わりに大きな鏡が表れた。 鏡に横たわり、張り付けにされていると、 『オイ!北斗ニ触レテミロ、御前ヲ八ツ裂キニシテヤル!!!』 俺は声のするほうを向く。 鏡に写った俺の姿は全く違う者だった。銀髪に黒の肌、金の瞳・・・・・是が南斗? 「南斗?」 鏡に写った片割れを見る。手足は固定されたままだったが首を出来うるだけ回す。 『北斗・・・・』 『黙っていろ』 朧はそう言うと、又祝詞を唱えだす。 次の瞬間、眩しさで目を瞑る。 薄く目を開けると其処には、俺の上に人型の発光体がいた。 天照大御神なのだろうキラキラと光るそれは、とても綺麗な女神だった。 彼女は俺を見ると微笑み、手を伸ばしてくる。 瞬間俺の中に吸い込まれていった。 「はぁっ。」 体が熱い。其れだけしかなかった。 熱さを逃すため息を吐く。 『北斗!』 熱のせいか、背後の声がどんどんとちいさくなって居るようだ。 『南斗、御前は其処で見ているが良い。兄の花を散らせる様を。』 すると、朧が俺の帯を解き、前を露にする。 彼自身も服を脱ぎ、その顔に似合わない男らしい体を見せる。 酸素を求め喘ぐだけの俺。 両の足を開かれ、上に覆いかぶさるように進んでくる。 次の瞬間、痛みで俺は啼いていた。 「あぅ!」 下半身が痛い。幾らかすると血の匂いが漂ってくる。 朧は、そのまま腰を進め、動かし始めた。 熱さと痛みの波に意識を朦朧としていた。 肌と肌を打ち付ける音が洞窟に木霊する。 『・・・常夜すまない』 体の奥で熱を感じたとき、そんな呟きを聞いた気がした。 戻 TOP 次 |