【小説】

■□ 人生と言う名の媚薬 7 □■




ある時、俺は何時もの通り、萩と藤丸を師として勉強に励んでいた、

しかし、其の日は思わぬ客人が入ってきた。

『忙しいところすまんな・・・・・』

其の一言で、彼は屋敷の中に入ってくる。

月の君だ。そして後ろに隠れた4つの影・・・

『先日はこいつ等が迷惑をかけたな・・・・ほれ、御前ら』

4つの影はおずおずと顔を見せる。月の君が促すように再度声を掛ける。

渋々なのか、小さな蚊の鳴くような声で、

『・・・・ごめんなさい』

と言ったのだった。

『と言うわけだ、これからはこいつらと仲良くしてやってくれ。』

「あ・・・こちらこそ宜しく。」

俺は、おずおずと手を差し出す。一本の手に四本の手が伸びる。

『世継の朔に、弟の連、常、稟だ、先日朔とは会ってるな。』

『・・・・』

手は挨拶だったが、目は4人とも逸らされたままだった。

嫌々ながら、そんな感じであった。

俺は、溜息をつくと彼らに言う

「この前は俺も遣り過ぎよ、怪我無かったか?」

一番小さい子をぽんぽんと撫でる。

「俺今武芸を色々と習ってるから良ければ一度手合わせ願うよ」

『そうだな、こいつらは何時もサボってばかりなのでな、灸をすえる機会だ、宜しく頼む』

『父上、私はサボってなど・・・・』

『たまたま、師が休みを取られてしまうのです』

『御前たちが胃痛で休ませていることは当に知れてる』

・・・どんなことしたのだろうか、一抹の不安がよぎる。

「俺も始めたばっかだし、色々と萩や藤丸に教わってるんです」

『いや、噂は聞いておる。中々筋はいいそうじゃないか』

『北斗様の腕は確かに。後、数年すれば我々など及びも付かなくなるでしょうね』

萩・藤は嬉しそうに言う。親莫迦のようなものだろうか・・・?

俺は萩や藤丸に一本も勝てていないのに、何だか申し訳ない。

『どれ、俺が見てやろう。』

『月の君様!?』

萩・藤がびっくりして止めに入る。

『何、模擬刀だそれに御前の父とも良く剣を交えたものよ、とても強い人でな・・・俺は

後にも先にも勝ったのは最後の一本のみ』

笑いながら、模造刀を選ぶ。俺じゃなく遠い昔を見て、思い出しているのだろう、父さんだろうか?

でも何だか嬉しかった、顔も知らないけど、父さんを知っている人が、褒めている。

きっと、とっても凄い人だったんだ。俺も父さんのようになりたい。

互いに一礼、剣を抜く。

月の君の持った獲物は身の丈程の剣。

片や俺は自分の体程の二対の剣。

抜くと同時に、地を蹴り間合いを詰める。相手の一撃を受ける。流石に重い剣圧、

下手に受けると肩を外してしまう、そう思った俺は咄嗟にその力を受け、片方の剣に流す。

上段から斬る、しかし其の動きは読まれていたらしく受けた。

後ろに跳び、片を下段とし他を身に隠し上段とする。月の君は上段の構え。

素早く懐に飛び込む。見計らったように振り下ろされる大きな剣は土煙を風圧で上げさせた。

それを狙ってた、左に避け、次の瞬間剣の上に乗り、片の剣を月の君に当てる。

ニヤリと月の君は笑う。手加減をされた・・・。

剣を振り上げられ、足場を悪くした俺は、飛びのく。

高く跳び、剣を重ね飛び込む。

取ったっとおもった。しかし、居るはずの月の君は後、剣を首筋で止められる。

「負けました・・・・」

悔しいが、これは実力の差。

『一瞬ひやりとした、確かにこれは何年後かには強くなるだろうな・・・』

「いえ、俺、まだまだ未熟と言うのを実感しました・・・・」

俺はガックリと項垂れる、

『すごい!父様とこれまで戦えるなんて!』

首に垂れ下がる3人、えと連、常、稟だ。

『御前、意外とやるな。今度手合わせ願うよ』

なんだか、恥ずかしかったが、4人にちょっと打ち解けたようだ。

「うん、若し良かったら一緒に武芸の稽古やろうよ、其のほうが楽しいだろうし・・・」

『うん!一緒にやろう』

『俺負けない!』

「萩、藤丸いいよね?」

俺は今更ながら聞いてみる。

『勿論ですとも、さあ、月の方でも容赦はしませぬぞ』

萩と藤は模擬刀を持ち構える。

えい、やぁ!と掛け声が響く。そんな時間はとても楽しかった。

日が沈むまで、5人で稽古をしたのだった。





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