【小説】

■□ 人生と言う名の媚薬 4 □■




此処での日々の生活に慣れた頃・・・・

何時も、おぼろは書物と睨めっこをしていた・・・・

俺は、勉学と武術を先生を踏まえて教えてもらっていた。

先生といっても藤丸と萩丸だったが・・・・・

『神々の住まう高天原、人々の住まう中津国、死者の住まう根の国とありまして・・・・・・・・此処は高天原、

北斗様が居られたところが中津国、亡くなられた母上様が居られるのが根の国でございます』

筆で高天原、中津国、根の国と書いていく・・・・ある程度言葉はいけるのだが書くってことは犬ではやらないからなぁ・・・

ひらがな、カタカナ、漢字とあるらしい・・・・・・

俺・・・・頑張れ・・・・・・

「それにしても、北斗様は吸収が早う御座いますなぁ・・・・我々も教え甲斐が有りまする。」

元来、二人で進める政を、おぼろ一人でやってる現状を聞いたら遊んでは居られない・・・・・。

「今日は、勉学は此処までに致しましょう。午後には武術の稽古を・・・・・・」

カリンが日曜日の午後暗くなっていたのが解った気がした・・・・・・・・

使うのは木で出来た模造刀だ。藤と萩、交互に相手をしてもらう・・・・

俺の守役とあって、恐らく本気ではないのだろう・・・・・悔しいが強いのが解る。

俺は自分の身長程もある刀を模造とはいえ2本手で持つ・・・・・・俺は怪力なのかもしれない・・・

最初、藤と萩には止められたのだが、軽すぎてしっくりとこなかったのだ。

『おい』

その声でふと我に帰る。

無心で剣を振っていたんだろう、俺は鞠が足元に転がっていたのに気づいた。

見てみると、塀の横から黒い頭が4つ出ていた・・・・・・

どうやら、月の一族の者らしい、俺は彼らに鞠を返そうとしたときだった。

『フン!お前弱いくせに!!父さまの勾玉を返せ!!』

と声がしたとたん、手にした鞠が黒い閃光となって俺を包んだのだった・・・・・・・・

一瞬背筋を冷えたものが駆ける。

『戯言ヲ!!』

俺が喋っている筈なのに俺ではない声・・・・・・・・

『誰ニ疎ノ様ナ口ヲ聞イテイルノカ、得ト思イ知ルガ良イ!!!!』

手から何か熱い物が集中し其れを4人の子供達に投げつける。

俺でも解る・・・・・・其れは危ない物だ!

子供達は悲鳴を上げる!激震と爆音・・・・・・次の瞬間広大な庭に穴が開いていた。

そして中央には光の膜が有り、4人が縮こまっていた。

『ッチ!朧カ・・・・・』

すると、騒ぎを聞いて駆けつけたのだろう、渡り廊下の上には朧が居た。

『君は・・・・・・北斗じゃないね?』

何時もの視線の柔らかさは無かった。鋭い目で俺を見る。

『俺ハ南斗・・・・・北斗ノ”対ノ者”ニシテ勾玉ノ継承者・・・・』

君は誰なの?”対の者”って?俺はもう一人の自分に聞いてみる。

奴は苦笑いをしたようだった、何も答えてくれない。

『面白いことを言う、対の者とは・・・・・・・』

それにしても俺の体はどうなってしまったのだろう・・・・。

次の瞬間、視界は暗転した。

その夜、大変な騒動になっていたらしい。らしいというのは俺が目を覚ましたのが2日後だったから・・・・

藤と萩丸が言うには、俺はその後吐血して、気を失ったらしい。

力の負荷が大きすぎて体が悲鳴を上げたのだそうだ・・・・・。

目を覚ましたとき、心配そうなおぼろが俺を覗いていた・・・・・。

全身が痛かったが俺はその視線を和らげようと手を伸ばす、おぼろは直ぐに出した手を両手で掴み返してくれた。

安堵でニッコリ笑う、・・・良かったおぼろも笑った。

『力を使いすぎたんだ、今は良く養生しなさい』

その言葉に誘われるように。俺は又、眠い瞼を閉じる。




三日月の青い光が部屋を明るくしている。頭が冴えるような夜。

『月の君、して此度のこの事どう責を負われるか?』

天の君、月の君酒を酌み交わしながら話す。

『所詮、子の遊びが過ぎたまでよ。まぁ此方も跡継ぎを殺されかけたのだしな』

肩眉を上げ、図々しくもサラリと言ってのけた相手に切り返す。

『此方とて、大事な跡継ぎ。それも1人としかいない・・・・・』

そこで、ふと、思うところがあったのか、杯に視線をやったまま止める。

『あの、南斗と名乗りし者・・・・・・・・どうやら北斗の体に封じし、対の者らしい・・・・・・』

言うか言わないか迷うが、その者が勾玉を持つ以上、月の君も関わる事になる。

『・・・・・ほぅ』

月の君は杯を止め、視線を此方に投げてくる。

『・・・・・銀髪に黒の肌・・・・・・南斗はどう見ても月の一族の血。その上勾玉も、基奴が持って居ると言っておった・・・・』

恐らく、大きな問題になりかねないのだ・・・・・今のうちに話しておくのも手だ。

『皮肉な者だな・・・・・、兄者に瓜二つの天の子に、対の者は月の子とは』

『・・・・・・日の輪に瓜二つだったぞ』

『目も当てられないな・・・・』

どちらからとも無く溜息が漏れる。そして長い夜は更けていくのだった。




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