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■□ 人生と言う名の媚薬 3 □■ 気がつくと其処は大きな和風の建物の中だった・・・・・・ 夜の闇と白い庭が目の前に飛び込んでくる。 その庭はとても美しかった。 庭に集中していたらしく、俺は人の入ってきた気配に気づかなかったらしい。 『北斗様、お気づきになられましたか・・・・・・・』 庭と同じ白一色の衣装に身を包んだ年配の男がそこにはいた。 『天の君が御呼びになられてます』 彼はそういうと手を打ち人を呼ぶ。 気づくと、その後ろには5歳ほどの子供が二人是もまた同じ衣装で座り手を床に伏していた。 『北斗様付きの者なれば何でもお申し付けくださいませ・・・これ、藤丸、萩丸挨拶をせぬか』 小さい子供は「は!」と言うとそのままの体制で自分の名前を言った。 『此度より北斗様付きとなりました藤丸と申します』 左の少年が言えば 『此度より北斗様付きとなりました萩丸と申します』 右の少年が後に続く 『若輩者では御座いますが、何卒宜しくお願い申します』 よく見ると、緊張のためだろうか彼等の頬は幾分赤く染まっていた。 『では、藤、萩よ。北斗様の御召し替えを頼むぞ』 『はっ!!』 と2つの声が重なる・・・・ 何だか・・・・俺は「じだいげき」にいるようだった。 立ってみて気づいたことだが・・・・・・・俺は彼らよりも小さい・・・・・・ 人間でいうと3歳児くらいの大きさだろうか?・・・・・・・・・ 「俺は北斗。藤丸、萩丸よろしくな」 俺は白い綿帽子の様な彼らに笑みを浮かべつつ手を差し出す。 よろしく=握手なのだが・・・・藤丸と萩丸は座って礼をした。 何か恐れ多い?とかなんとか・・・・でもカリンは挨拶のときそうしてたと思ったが・・・ 足袋を履かされ、白衣なるものを着て、その上から紅梅色の着物、次に朱の袴、白の狩衣と元来犬の俺には信じられないほどの長い着替えだった。 萩丸は、着替え終わった俺に鏡を通して見せてくれる 灰色の癖のかかった髪に翡翠色の瞳、犬の時には黒一色なはずだ・・・・・ 肌の色も犬のときとは正反対の白だった。 カリンはあれからどうなったんだろう・・・・・・・カリンが綺麗って言ってくれた黒が無くなっちゃったよ・・・・ 『北斗・・・・・・終わったようだな』 背後から手が伸びヒョイと片手で抱き上げられる。 「・・・・・アマノセンパイ?」 彼は卯の花色の着物に麻の帯、象牙色の羽織を着ていた。 整った鼻梁に金の瞳、銀の流れるような髪。男臭さは無いが確かに美男子という言葉がしっくり来る顔である。 『私はお前の母、天の宮の兄で、天の君の朧だ・・・朧と呼べ』 優しい笑みに俺は釣られて笑う。おぼろは俺の頭を撫で何処かへと歩みを進める。 「おぼろ、何処に行くんだ?」 俺はおぼろのさらさらと流れる髪を楽しげにいじりながら聞く。 『月の一族と天の一族の面々の宴だ、何・・お前をお披露目するだけだ』 池の上の中央に大きな寝殿が見える。渡り廊下には誘導するかのように灯籠と朱の布が敷いてある。 弧を描いた朱の橋の中ごろに来たときだった・・・・。 こちらの橋と対になった橋から浅黒い日の焼けた男が見える。 おぼろが白なら彼は黒がぴったりなイメージだ。 漆黒の髪は短く、墨色の着物に、鼠色の袴 羽織は鉛色 銀の瞳が此方を見ていた。 視線が鋭く恐らく余り喜ばれていないのはなんとなくではあるが解った。 後ろに付かず離れずに寄り添う女性がいた。 流れる白銀の髪に日に焼けた様な黒い肌、眼は翡翠色・・・ 美しい顔立ちで此方に気づくと深々と頭を下げた。 『あれは月の君、後ろに仕えるは妾の望だ。そして・・・』 その後から俺と同じ位の子がひょっこりと出てくる。 金の髪に日に焼けた髪に翡翠色の眼は俺を見たとたん、目を反らす。 『その子は朔だ』 俺は少し悲しくなった。 そして俺とおぼろは宴がある寝殿へを足を踏み入れたのだった。 豪華に並ぶ膳を挟み対岸は黒、此方は白の色で埋め尽くされていた。 『此度の宴は私の跡目の披露目の席・・・・』 おぼろが俺を下ろす。皆の視線が俺に突き刺さる。 『常夜と日の輪の子で北斗だ』 瞬間ザワザワとする。俺は不安になりおぼろを見上げるが、安心しろと言うように頭に手を置かれる。 『・・・俺は認めんぞ』 月の君は初めてあったときから見せていた、鋭い視線のまま言い放つ。 『ほう・・・・何か不満顔ありか?月の君』 『天の君、お前はその餓鬼に勾玉が有ることをお忘れか?』 『無論、それは承知の上だ。だからといって天の血を此処で途絶えさせることはできん。 2人しか正統な血が無いのだからな、それに比べ月の血は良く栄えることだな』 おぼろは憎憎しげに笑う、金の瞳は鋭く月の君を睨んでいた。 おぼろと俺だけ・・・・・・。恐らく其れまでおぼろは一人ぼっちだったのか・・・・・ ふと、悲しくなり俺はおぼろの羽織の裾をにぎっていた。 戻 TOP 次 |